学校法人関西大学には、2018年8月現在71台のZOLL AED Plusが設置されています。
関西大学「保健管理センター※」事務室関係者の方へのインタビューをもとに、今回の導入事例についてご紹介いたします。
※保健管理センター:学生、及び生徒・児童・園児ならびに教職員の健康保持、増進することを目的に、保健管理業務を行い、心身ともに健康な大学生活が送れるように、定期健康診断などを通じて健康という側面から支援を行っています。
関西大学は、2016年に創立130周年を迎えた歴史ある大学です。
関西大学の前身は1886年に開校した関西法律学校ですが、現在では13の学部と13の大学院研究科、3つの専門職大学、1つの別科を擁し、世界各地からの留学生を含め、約3万人が在籍する総合大学となっています。さらに併設校(幼稚園・小学校・中学校・高校)が8校設置されており、約5千人の園児、児童、生徒、及び法人全体で約2千名の教職員が在籍し、日々最新の教育環境の下、勉学・研究に取り組んでいます。
また、関西大学では創立130年周年を迎えたことを契機に、新たに「未来を問い、そして挑戦する。」という長期ビジョンを打ち出しています。このビジョンは、創立150周年となる2036年へ向けて目指すべき将来像を実現するための指針となっており、さらなる発展に向け、常に躍動し活気ある大学として邁進すべく、挑戦を続けています。
同大学ではより充実した学生生活が送れるよう、設備も充実しています。併設校も含め大阪府内に6キャンパスを擁し、学生寮は5施設が設置され、入寮者は日常生活のサポートを受けることはもちろん、地域の方々も交えた異文化交流を行える寮もあります。また全国5カ所にセミナーハウスが設けられており、自然にあふれた静かな環境の中で、キャンパス内とは違った雰囲気で、教育・研究のより一層の効果が期待され、教職員・友人と寝食をともにすることによって、豊かな人間関係を育むこともできます。
130年の歴史がある関西大学ですが、2010年は節目となる年でした。より総合的な大学を目指した"2010プロジェクト"が完了し、新キャンパスが開設され、新たな併設校も開校されました。これを機にAEDも増設されました。
同大学では、一般市民もAEDを使用できるようになった2004年から、AEDの設置を進めてきました。AEDの普及が急速に進んだのが2007年から2009年頃ですので、世間に先駆けての取り組みでしたが、より安全、安心な環境を提供したいという思いがあったからだと思います。
当初はトライアル的な意味合いもあり、いくつかのメーカーのAEDを設置しました。2004年以降AEDの増設は進みましたが、管理面での課題も見えてきました。AEDは各施設にて管理されているケースもあり、耐用期間の把握、消耗品の交換等も各施設にて対応していましたが、台数増加、特に2010 年のキャンパス拡充に伴い安全対策の観点からも、管理の主体を明確にし、一元化する必要があるのではという議論がなされました。検討の末、AEDの管理を保健管理センターに一元化しました。その結果、キャンパス全てのAEDについて情報を把握することができるようになり、タイムリーでスムーズな対応が可能となりました。それに連動して、"何かあったらすぐに連絡ができる体制"が整いましたので、リスクの軽減にも繋がっています。
管理体制の変更に伴い、設置AEDについても機能面、費用面について再検討を行いました。そして、2014年4月に当時設置されていた68台のAEDを全てZOLL AED Plusに切り替えました。選定の理由としては、胸骨圧迫のフィードバック機能が搭載されていること、また、音声ガイダンスだけでなく、ディスプレイ表示とサークルアイコン(イラスト)で救命処置の流れを確認できるため、わかりやすいということが挙げられます。また、屋外の設置場所もありましたので、防塵・防水性が高いということもポイントでした。さらに1機種に統一することにより、使用方法を覚えることもスムーズになりました。
関西大学では、現在71台(2014年切り替え時68台+3台増設)のAEDが設置されています。
そのうち32台がメインとなる千里山キャンパス内に設置されています。設置マップで示してあるとおり、キャンパス内のどこにいても迅速な救命処置が行えるように配置を検討し、設置されていますので、適切な時間内にAEDを取りにいくことができます。
千里山キャンパス以外のキャンパス、全ての学生寮、及びセミナーハウスにもAEDが設置されています。
救命率は1分毎に約10%低下していきます。いかに早く処置をするかが救命の鍵となります。
「胸骨圧迫開始時間と生存率」と「AEDの適正配置」の観点から見ても、関西大学のAED配置はかなり高い水準であり、迅速な救命処置が可能です。
関西大学では、「AEDは設置して終わりというものではなく、いざという時に使える状態にしておくことが重要」と考えています。そのため日常点検を実施し、機器自体をいつでも問題なく使用できる状態にしておくことはもちろん、その他にも様々な取り組みを行っています。
まずハード面の対応として、AEDの設置場所をわかりやすく周知するために、設置マップを作成し、ホームページ等への掲載を行っています。さらに設置場所にステッカーを掲示するとともに、その下に設置場所(設置階・場所)を記載したシールも掲示しています。キャンパス内の大きな建物でも、この案内があることにより、すぐにAEDを見つけることができると思います。また週末等に地域の方々などを対象にしたイベントが開催され、学生以外の方がキャンパスを利用する機会も多いため、そういった方にも使用していただけるよう、24時間オープンしている「インフォメーションセンター」にもAEDを設置しています。
次にソフト面の対応として、定期的にAEDを用いた救命講習を実施しており、座学と実地講習で確実に必要な知識と技能を修得してもらうようにしています。特に実地では、必ず全員が機器に触れ、操作を体験しています。AEDという言葉は知っていても、実際に触ったことはない方がほとんどだと思いますので、この体験は非常に有用だと思います。毎回アンケートをとっていますが、受講生の反応は好評です。(以下参照)
受講希望の問い合わせも多いことから、講習会については今後も定期的な実施を計画しています。 保健管理センターのミッションである「心身ともに充実したキャンパスライフを送るための健康支援」の一環として、引き続きAEDについても様々な取り組みを行っていくとのことです。
本文中の組織名、所属名、役職名などはすべて取材時のものです。