JRC蘇生ガイドラインは、日本蘇生協議会(JRC)が作成する、日本の救急、蘇生に関するガイドラインです。国際蘇生連絡協議会(ILCOR:International Liaison Committee On Resuscitation)が作成する国際コンセンサス(CoSTR:International Consensus on Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care Science With Treatment Recommendations)に沿って、5年に1度、エビデンスに基づく見直しが行われます。救命の手順やAEDの仕様なども、このガイドラインに基づいています。
最新版であるJRC蘇生ガイドライン2020は、COVID-19の影響による延期を受け、2021年6月に発表されました。JRC蘇生ガイドライン2015を基本的に踏襲し、一次救命処置(BLS;basic life support)では「心停止傷病者の救命には市民救助者の行動が不可欠」であり,「強く,速く,絶え間ない胸骨圧迫が最重要」という基本方針に変更はありません。
救助者が判断に迷う場合を想定し,救命処置に遅れが出ないようにわかりやすい手順や表現に改められました。「妊産婦の蘇生」「海外での課題」の章が追加され、補遺にはCOVID-19への対応をまとめています。
JRC蘇生ガイドライン2020の一次救命処置(BLS;basic life support)における2015からの主な変更点は以下のとおりです。
変更点 | JRC蘇生ガイドライン2020 |
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反応の確認 | 「反応の有無の判断に迷う場合」、または「わからない場合」も「反応なし」とみなす |
呼吸の確認 | 「普段どおりの呼吸かどうか判断に迷う場合」、または「わからない場合」も「呼吸なし」とみなす |
AEDのパッド / モードの名称 | 小児用パッド(モード) → 未就学児用パッド(モード) 成人用パッド(モード) → 小学生~大人用パッド(モード) |
※表は横スクロールしてご覧いただけます
従来、AEDのパッド/モードに関する表記は、小学校入学前の子どもは「小児用」、小学生以上は「成人用」としておりましたが、実際に使用する際に、小学生に対してどちらのパッド/モードを使用するか即時に判断できないケースや、誤って小児用パッド/モードを使用するケースが報告されていました。
そのため、一般市民が小学生の心肺停止事案に接する際において、小児用パッド/モードと成人用パッド/モードのどちらを使用すべきか即時に判断できるよう、AEDおよびパッド/モードについて、「小児用」は「未就学児用」へ、「成人用」は「小学生~大人用」に呼称の変更が行われました。
表記変更の詳細に関しては、下記をご確認ください。
参照:厚生労働省「自動体外式除細動器及び体表用除細動電極の適正使用に関する情報提供等の実施について」
一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)ヘルスケアインダストリ部会 体外式除細動器ワーキンググループ「AEDに関する重要なお知らせ」
現在、当社が販売しているAED、AED訓練機*、および非医療従事者向けAED用除細動パッドは、すべてJRC蘇生ガイドライン2020に対応しています。
*トレーナー2を除く