2024年7月26日
旭化成ゾールメディカル株式会社
7月14日に、東京都千代田区の有楽町朝日ホールで「AED20周年記念シンポジウム」が開かれ、「あって当たり前から当たり前に使用するものに」というテーマで、AED(自動体外式除細動器)の使用率向上のための提言や、今後のAEDの在り方についてディスカッションが行われました。
2004年7月に日本で一般市民によるAEDの使用が認可されてから20年を迎えました。この20年間でAEDの普及は進み、現在市中のAED設置数は推計約70万台にのぼり、これまでに約8,000人が一般市民のAED使用によって救命されました。
一方でAEDの使用率は約4%と低い水準にとどまっており、AEDの使用率向上が大きな課題であることが改めて提起されました。
日本AED財団名誉総裁の高円宮妃久子さまも出席され、2002年11月に高円宮憲仁さまがスカッシュの練習中に心室細動で倒れ急逝された際の状況を語られました。当時、AEDは医療従事者しか使用できませんでしたが、その2年後に市民も使用できるようになり「すばらしい人命救助のツールとなりました」と振り返られました。さらに、「AEDはその人の命だけでなく、家族や友人の人生を変えうると思う。まずは使ってみる、という意識こそが今の私たちに求められている感覚なのではないでしょうか」、「日本を、救える命を救う国、安全な国に変えていくという熱い思いをみなさまとぜひ共有したい」とAEDの積極的な使用を来場者へ呼びかけられました。
「AEDへの想い」と題したセッションでは、AEDで突然の心停止から救命された方、救命に関わった方が登壇し、それぞれの体験を話しました。2005年の愛知万博の会場で倒れ、そばに居合わせた4名の医大生にAEDで救命された牛田尊さんは、「倒れた方を見たら、考えず、悩まず、ちゅうちょせず、駆け寄っていただけたらと思います」と語りました。また、救命に関わった人たちの勇気と行動力に加え、300mおきにAEDが1台設置されていた会場の医療体制にも感謝を述べました。
バスケ部の指導中に倒れた中学校教師の越川崇憲さんを、チームメイトとともに助けた教え子の小野蒼平さんは、副部長が2か月前に体育の授業でAEDを使った心肺蘇生法を習っていたことや、自身も「アンパンマンマーチ」のテンポで胸骨圧迫を行うとよいことを兄から聞いていたことから、迷いなく自然に役割分担ができたと語りました。自分は先生を救えたので、日本全国で救える人が増えたらいいな、と想いを伝えました。
基調講演では、「AED20年の歩み」と「AEDを取り巻く課題」を演題に、この20年の経緯とAED普及と救命の成果を振り返るとともに、一般市民のAED使用に関する問題提起と課題解決への提案も行われました。
「AEDはもっと使える・もっと救える社会を目指して 次の20年を話そう!」と題したパネルディスカッションでは、司会にジャーナリストの堀潤さん、コメンテーターにAED大使の有森裕子さんと山本篤さんを迎え、AEDの使用状況とその改善に関し、忌憚のない意見が交わされました。
第1部の「当たり前を広げたい」では、デジタル活用と「AED GO」の利用推進、全国民が救命処置をできるようになるための小学校での救命教育の実現、日本赤十字社による救命講習などの活動報告など、具体的・実践的な課題解決策の紹介や提唱がされました。
第2部は「次の20年の当たり前」と題し、「救命された市民の視点」としてサバイバーである植村純一さんが、救命後のケアやQOL向上へのサポートの必要性を訴えました。また、自らもマラソン中に心停止から救命された体験を持つ村田忠彦さんによる「研究者が考える20年後のAED」、2021年7月に東京消防庁管内史上最年少で応急手当普及員資格を取得し、現在日本応急手当普及員協議会代表理事を務める芹澤零音さんから「若者が考える20年後のAED」のアイディアの提案がされ、シンポジウムは盛況のうちに幕を閉じました。
また、シンポジウムに併設された「AED20周年記念企画 AED体験コーナー」では、各社のAEDの展示、体験使用ができるブースのほか、子供向けのAEDクラフトコーナー、救助者の視点で救命体験ができるVRコーナー、声優・絵本作家のかかずゆみさんによる「命を守る 読み聞かせ」ステージ、「小原莉子と学ぶ、教えてAED」、「元ラグビー日本代表田中史朗さんと語る、スポーツ現場でのAED」と豪華ゲストを招いたトークショーなど盛りだくさんのプログラムが行われ、大人からお子さんまで多くの来場者が楽しみながらAEDへの学びを深めていました。
AED一般市民解禁から20周年を迎えるにあたり、各種団体や組織がその垣根を越えてAED20周年記念企画実行委員会を発足させました。AEDの設置率・使用率のさらなる向上、AEDの適正管理の一層の推進(AEDや消耗品の適正管理、廃棄、更新)による突然の心停止傷病者の救命率改善、ひいては安心安全な社会作りへの貢献を目的に、本実行委員会は、一般市民の方を対象とした各種啓発活動を行っており、本シンポジウムはその活動の一環となります。
旭化成ゾールメディカルは、AED20周年記念企画実行委員会運営および活動への参画、ならびにAED20周年企画のプラチナスポンサーとして、各種イベントや啓発活動のサポートを行ってまいります。
AED20周年記念企画の詳細と最新情報は、公式サイトをご確認ください。
AED20周年記念サイト|AEDが使えるようになって20年 (aed20th.com)